社葬で気をつけたい宗派にいて

葬儀において、微妙に複雑な問題が絡んでくることがあるのが葬儀をどの宗派で行うかどうかです。
個人葬の場合、本人が特定の宗派に属していたり何らかの宗教を信じていたとしても、故人の親しい家族がそれとは別の宗教に属していたようなときにはそのいずれで行うかどうか下手をすると家族が断絶するほどの争いに発展する場合があります。
社葬の場合は個人葬に比べてかなり多くの人が参列したり、運営に携わったりするのでそれほど個人的に属する宗派が問題となることはないようですが、それでも大きく分けてどの方式によるかは、葬儀を行う前に決めなければいけない大きな問題です。

日本国内で一般的に「葬儀」と呼ばれているものは、僧侶を呼んで読経をしてもらい、焼香などをして最後に火葬を行うというものです。
最近では特に都市部に済む人の中に、自分の家が代々どの宗派に属しているかがわからないというような人もいるようですが、基本的には特に本人に強い希望のある宗教がなければ、代々属していることになっている檀家の宗派に従って葬儀は行われます。
日本は地域によって分かれる各宗派ごとの檀家に一族が属することによって、社会的に構造を維持してきたという特殊な文化を持っているので、先祖がいた土地がどこであったかによって同じ仏教であっても少しずつ属する宗派が違ってきます。
主な宗派を挙げるだけでも「臨済宗」「浄土真宗本願寺派」「浄土真宗大谷派」「曹洞宗」「時宗」「黄檗宗」「日蓮宗」などがあり、他にも日本全体には数えきれないほどの細かい分派があります。

宗派が違う仏教は、本尊とする神(仏)が違うばかりでなく、経典や葬儀に使用する焼香や線香の種類までもが異なってきます。
同じ焼香であっても動作の回数が違ってきたり、一回に捧げる線香の本数までもが決まっていたりするので、特に遠方から急に引越しをしてきた人などはあまりもとの地域の常識にこだわらないようにした方がよいでしょう。宗派によっては弔電・弔辞のときに使ってはいけない言葉が示されていることもあるのです。

そのような宗教的な儀礼の複雑さを避けるため、あえて社葬を「お別れ会」として特定の宗教的儀式を行わないパーティー・セレモニーのように行うことを選ぶ会社も増えてきています。
一見「お別れ会」と聞くと「社葬」といったものよりも故人を軽く扱っているかのように感じられるかもしれませんが、価値観の多様化する現代においては無用な争いや軋轢を避けるための便利な手段となるのです。