鯨幕

クジラに似ている?

葬儀を執り行う会場に行くと、黒と白の縦縞柄の幕が建物に下げられている様子をご覧になったことがある方も多いはずです。
この黒と白の縦縞幕を鯨幕と言います。
クジラ肉を食べたことがあるという方は少ないと思いますが、クジラ肉には皮の黒い部分と脂肪の白い部分が層になっていることから、断面を確認すると黒と白の縞模様になっています。
クジラの縞模様に見えることから、鯨幕と呼ばれるようになりました。

参考:http://en-park.net/words/1822

弔事用幕の歴史

昔の日本で弔事を行う際には白一色を使うのが一般的でした。
現在は喪服と言えば黒ですが、本来は白装束をまとうのが一般的だったと言われています。
海外では喪服といえば黒だったので、海外の様式に合わせるために日本も黒の喪服にしようという動きがあったことから、現在のように黒が一般的になりました。
幕も同様で、以前は白を使用していましたが、江戸時代頃から徐々に葬式では黒を重んじるという文化が一般的になったことと、縞模様が人気になったことから黒と白の縞模様になったと言われています。

現在では黒と白の鯨幕は、葬式用に使用されるのが一般的になっていますが、以前は葬式だけでなくお祝い事にも使われていました。
本来の意味としては、黒は高貴な色として認識されていたため、慶事でも弔事でも関係なく使われていた経緯があります。
現在、一般的にはハレの日となる慶事では紅白幕が使われるもので、葬式などの凶事については黒白幕を使うものだと認識されています。
しかし皇室行事では結婚をする際にも黒白幕を使用しており、紅白幕は使用していません。

鯨幕を葬儀の際に使用することになったのは、大正時代の末頃だと言われています。
当時の葬儀屋が葬儀で鯨幕を使用したのがきっかけで全国的に広まったとされています。
鯨幕を使用するようになったのは、幕の後ろにあるものを隠して日常的な雰囲気を隠したいとの思惑があったからだと言われています。
昔は葬儀を自宅で行うのが一般的でしたが、生活感がある室内を隠すために考えられたのが鯨幕だったとされています。
海外で亡くなった方を弔うために使われる色は黒、日本で古くから弔事に使われていた色は白という文化が組み合わさったことで、鯨幕が生まれたとも言われています。

鯨幕は室内だけでなく、玄関の外や玄関など屋外にも張り巡らせています。
最近は葬祭場などで行うことが多くなったため、一般の家庭で鯨幕を張っている光景を見かけることは少なくなっています。

ちなみに、神事では黒と白の鯨幕ではなく、青と白の浅黄幕を使うことが多いです。
鯨幕よりも浅黄幕の歴史が長いという説もあり、神事の慶事では鯨幕を使用して、弔事では浅黄幕を使用することが多いという特長があります。